obatahi

No. 048 2026.09.16

遁走状態

建物が人格を規定している。

介護付有料老人ホームは高級マンションのようなロビーを構え、車椅子が縦に並べてあった。オフィスビルの一階のコンビニで朝にその日の栄養を補給し、一度出て、その上にある自分のオフィスに向かう。建売住宅の正確に区分けされた敷地に、ドアは思い思いに装飾している。

建物から遁走すると、近所には責任の欠如と見られる。

袋小路に入るのも、ルールに乗っている。

歯科医院だった建物の前を通る。看板には蔦が絡みつき、植え込みの草木は枯れ切っている。庭に停められた車のフロントガラスには、落ち葉が溜まっている。

二階の屋内に、ゆったりとしたTシャツが干してあった。緑、黄、青。どれも色が濃く、湿って見えた。

今日は雨だ。

人は住んでいた。

nehan